介護職員基礎研修について

1.介護職員基礎研修とは

 「介護職員基礎研修」は従来の「訪問介護員養成研修事業」のカリキュラムの「学習目標」「内容」を踏まえつつ、新しい視点から、ねらい・課目構成・時間数等について全体的に見直し、新たに提案されたこれからの介護職員の基礎的な職業教育のカリキュラムです。

○目的

  • これから介護職員になる人の就業要件としての基礎的な職業教育
  • 在宅、施設を問わず、介護福祉士資格を持たない現任の介護職員のスキルアップを図るための共通基礎研修
  • 介護福祉士資格取得のための支援

○対象

  • 介護福祉士資格を持たない者で、これから介護職員として従事しようとする者
  • 介護福祉士資格を持たない、現任の介護職員

○時間数及びカリキュラムの構成

  • 研修時間は、全ての科目を受講した場合、500時間となります
図1 研修科目と研修時間
1.基礎理解とその展開 360時間
☆*(1)生活支援の理念と介護における尊厳の理解 30時間
(2)老人、障害者等が活用する制度及びサービスの理解 30時間
(3)老人、障害者等の疾病、障害等に関する理解 30時間
*(4)認知症の理解 30時間
*(5)介護におけるコミュニケーションと介護技術 90時間
(6)生活支援と家事援助技術 30時間
☆*(7)医療及び看護を提供する者との連携 30時間
*(8)介護における社会福祉援助技術 30時間
☆*(9)生活支援のためのアセスメントと計画 30時間
(10)介護職員の倫理と職務 30時間
2.実習 140時間
(1)事前演習 8時間
(2)実習 124時間
[1]施設・居住型実習 80時間
[2]通所・小規模多機能型実習 40時間
[3]訪問介護実習
[4]地域の社会資源実習 4時間
(3)事後演習 8時間
合計 500時間

☆印:訪問介護員養成研修1級課程を修了され、1年以上の実務経験を有する方対象科目
*印:訪問介護員養成研修2級課程を修了され、1年以上の実務経験を有する方対象科目

  • 訪問介護員資格を有する現任者、実務経験者が受講する場合は、実務経験、研修受講歴が評価され、新たに拡充された内容を中心に受講すれば介護職員基礎研修を修了したと見なされます

図2 訪問介護員資格がある者等が介護職員基礎研修を受講する際の時間数の考え方
図2

○受講方法について

  • 研修実施機関が実施する該当の講義・演習・実習を受講します。
  • 適切な教材、方法により指導を行うことにより、通信学習で科目を実施することが認められています。時間数は、「基礎理解とその展開」の360時間の内、165時間を上限としていて、各科目あたりの通信時間の上限は15時間(介護におけるコミュニケーションと介護技術は30時間)となっています。

○修了時の評価について

 各科目には、知識や技術の習得度を評価するポイントとして、最低限理解・習得すべき事項が定義されています。各科目の修了時には受講生がこの水準に到達できていることを確認します。

講義・演習

  • 修了評価は、筆記試験、口頭試験、実技試験、レポート等により行います。
  • 評価のチェックポイントに示す知識・技術の習得が十分でない場合には、基準に到達するまで再評価を行います。また、必要に応じて補講等を行います。

実習

  • 実習の修了評価は、別に定められた経験目標について、実習記録に基づき経験目標を経験したかどうかを確認します。

2.受講のメリットは?

1)福祉サービスに携わる者として、有資格者を求める時代の要請に応えるために

高齢者の尊厳を支えるケアを確立するうえでは、専門職としての知識・技術とともに、人と共感できる豊かな人間性を備え、介護の本質的な理念を体得できるような人材を確保・育成していくことが重要

「2015年の高齢者介護」2003年6月26日 高齢者介護研究会 より

 「介護職員については、まず、資格要件の観点からは、将来的には介護福祉士を基本とすべきであり、これを前提に現任者の研修についても、実務経験に応じた段階的な技術向上が図られるよう、体系的な見直しを進めていく必要がある

社会保障審議会介護保険部会
「介護保険制度の見直しに関する意見」平成16年7月30日 より

有資格者を重視した介護報酬の改定・福祉人材確保指針の見直し・介護福祉士の養成プロセス見直し
「介護職員は介護福祉士を基本」「現任者の技術向上」
に向けて制度が動いています!

2)将来想定される介護報酬の改定に向けて

 平成18年4月の訪問介護事業における介護報酬の改定では、サービスの質の確保・向上、サービス担当者の専門性の向上のため、下記のような有資格者の配置や外部研修受講等を評価し新たな加算が設けられました。
 介護保険制度の財源の確保が今後ますます難しくなることから、平成21年の改正でも各サービスの報酬・基準を「効率化・適正化」するという基本的な考え方は変わらず、サービスの質の高い事業所を積極的に評価し、人材の質の確保や活動環境の整備などで介護報酬を算定する方向性が進められることは十分想定されます。こうしたことからも、今後の改正に向けて、事業所としては有資格者の配置や職員へ必要な研修の受講など早めに体制を整備していく必要があります。

平成18年4月の介護報酬改定における主な内容(訪問介護事業)

  • 特定事業所加算の創設
<体制要件>
  1. 事業所のヘルパー(登録者を含む。以下同じ。)に対して計画的に研修(外部研修の受講を含む。)を実施。

    2. 3. 省略
<人材要件>
  1. 事業所のヘルパーについて介護福祉士の割合が30%以上。
  2. サービス提供責任者の全てが5年以上の経験を有する介護福祉士。
  • 3級ヘルパーの報酬減算の強化(減算率70%、平成21年度には評価なし)
  • 介護職員基礎研修の創設

 また、「厚生労働省としては、今後、全国の介護職員基礎研修の実施状況や、介護福祉士資格見直しの時期を勘案した上で、現在の訪問介護員養成研修課程を介護職員基礎研修に一元化する予定」(平成19年2月19日 厚生労働省老健局 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料より抜粋)であり、「まずは訪問介護員養成研修課程1級課程について、平成24年度を目途に介護職員基礎研修に一元化を図る予定である」(平成20年2月27日厚生労働省老健局 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料より抜粋)とされていることから、介護職員として業務に携わる上で、「介護職員基礎研修」が必要最低限修了すべき研修課程となってくることも想定されます。そうしたことからも、介護福祉士を目指さない介護職員はまさに、業務を続ける上での基礎研修として積極的な受講が望まれます。

Question介護福祉士を受験する際にメリットがありますか?

Answer明確にメリットがあると現段階で明言することはできません

 平成18年12月12日に示された社会保障審議会福祉部会とりまとめの中では下記のとおり提言がありました。

今後の介護福祉士資格の取得ルートのあり方

【実務経験ルート】

  • 3年以上の介護等の業務に関する実務経験に加え、理論的・体系的に必要な知識及び技術を学ぶ600時間程度の課程(通常6月以上の課程となり、通信課程の場合にあっては1年以上の課程となる。)を経た場合に、国家試験の受験資格を付与する仕組みとするべき。
  • 介護職員基礎研修課程を修了しているものは、あらかじめ理論的・体系的に必要な知識及び技能を修得した上で、介護等の業務に関する実務経験を経ることとなるものであることから、2年以上の実務経験を経た場合に、国家試験の受験資格を付与する仕組みとすべき。

「介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見」
平成18年12月12日社会保障審議会福祉部会 より

 しかしながら最終的には、「介護職員基礎研修課程修了+実務経験2年」で介護福祉士を受験できるというルートは採用されずに「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案」が平成19年11月28日に国会で可決成立しました。
 ただし、『社会福祉士および介護福祉士法の改正法案の国会審議において、「厚生労働省令において介護福祉士の資格取得ルートを規定するに当たっては、法律上の資格取得ルートとの間で、教育内容および実務経験の水準の均衡に配慮すること」との付帯決議がされていることを踏まえ、この付帯決議を尊重し、現在、国においては実務経験ルートにおける基礎研修の位置づけについて検討している』(平成20年2月27日厚生労働省老健局 全国介護保険・高齢者福祉担当課長会議資料より抜粋)とされていますので現段階での情勢としてはまだ流動的な側面があります。

平成20年2月厚生労働省発行「介護職員基礎研修について」より