総合循環型地域福祉サービスの展開による「サービス」・「つながり」の場づくり
活動事例紹介
ひだまり / NPO法人ふらっとコミュニティ
ふれあい、自分らしく、つながり、ともに生きる・・・・
共生のまちづくり
事例のポイント
精神障がい者が地域の中で安心して暮らせる地域社会づくりをめざした、居場所づくり、就労支援、ネットワーク構築の場づくりの取り組みである。当事者のみならず、家族への支援や専門職の技術を高めるための研究会の実施など、広い視野を持った活動が展開されている。課題は、財源と人材の確保。
精神障がい者と家族をサポートする仕組み作り
JR琴芝駅に近い市街地の一角。格子状に整理された街並みの角地に建つ、かつてはお菓子屋だったスペースがNPO法人「ふらっとコミュニティ」の本拠地である。店舗だった部分はつくりつけの吊り戸棚や収納スペースをいかしながら、事務机やテーブルを置き、来客や談話に対応している。さらに裏の住居部分も改修が済み、より使いやすくなった。木の建具、すりガラス、神棚、仏間など懐かしさの香る日本家屋だ。手芸教室や食事会、会合などに使われる。「ふらっとコミュニティ」の理事長・山根俊恵さんは元精神科の看護師。長い病院勤務を辞して地域に出てみて初めて地域の現状を知ったという。「国は社会的入院をしている精神障がい者に対し、社会的な支援があれば退院が可能であるとし、退院して地域で生活するようにと勧めていますが、実際にはそんなに簡単なことではないんです。地域の受け皿がなく、親も年を取っていく。障害者自立支援法の施行に伴って地域も混乱している。支援する人たちの体制も不十分。困っている障がい者と家族を地域で支援する仕組みが必要だと考えました」。
平成17年11月、山根さんを理事長に、理事6名、監事1名でNPO法人ふらっとコミュニティを設立。理事、監事には大学教授や司法書士、福祉関係者などが名を連ねている。翌18年1月には、宇部市障害者ケア協議会精神障害部会(平成12年発足。精神医療・保健・福祉にかかわる大学、行政、病院、施設、NPO法人、家族等の関係者が参加)が発行する冊子「メンタルヘルスうべ」第1号を企画編集した。場所も資金もなかったのでとりあえずできることから始めようと5月に、家族が専門家の話を聞き、意見を交換する精神障がい者家族勉強会を開始。6月には対人援助を仕事とする人たちが対人援助技術を高めるためのケアマネジメント研究会を始めた。そうした活動をしながら、病院と地域をつなぐために精神科各病院の院長に協力を依頼し、また拠点となる場所を探した。拠点の立地条件として障がい者や家族が通ってくるのに交通の便のよいところ、地域の理解を得られるところをと考え、通所の授産施設、作業所などがすでにある地区に絞って歩き回ったという。現在の物件を見つけ、持ち主と交渉、資金不足のため家賃も値下げしてもらって契約にこぎつけた。
平成18年9月、精神障がい者や家族の居場所・「ふらっとコミュニティ」の事務所としての拠点を「ひだまり」と名付け、開所。「ひだまり」で使う机や椅子、備品等は遊休品や廃棄物品を利用。ボランティアが運搬やリフォームで手を貸してくれた。地域内の商店街には「精神障がい者の居場所を作りたい」という活動趣旨を理解してもらうためのパンフレットを配り、商店街組合にも加入。受け入れてもらえたうえに空き店舗対策の助成を受けることができるという情報をもらったり、商店街の広報紙にも取り上げられた。「ふらっとコミュニティ」のロゴ作成や、精神保健・福祉に関する情報や勉強会の案内などを発信するホームページの制作・管理は知的障がいを持つボランティアの協力による。
地域社会の中で暮らしていくための力をつける
「ふらっとコミュニティ」の活動理念は「精神障がい者が地域の中で安心して暮らせるような地域社会作りを目指し、居場所の整備と活用、働ける場所の開拓、ネットワークの構築、情報の提供などの支援活動を行うことによって、地域社会の保健・福祉に寄与することを目的としている」。人間関係の中で疲れた心は人と人との関係の中でこそ回復していくのではないか。精神障がい者が地域社会の中で自分本来の姿を取り戻し、社会参加の道を模索し、意義のある人生を送ることができるよう、さまざまな活動を通して、いっしょに考え、いっしょに歩み、お互いに支え合うことのできるまちにしていきたいというのが願いと目標だ。この理念に賛同する人には個人あるいは団体会員として、「いっしょに活動する正会員」「資金協力をする賛助会員」「ボランティアとして参加する支援会員」という形で入会してもらい、会費を集めて運営資金としている。会員数は平成18年度末で約40名。ケアマネージャーや福祉施設職員など福祉関係者、当事者の家族、当事者が主たるメンバーである。活動を支えるスタッフは理事の一人で事務局長・福原三千代さんをはじめ、非常勤が2名。ボランティアが5名である。福原さんも非常勤スタッフも無給。今後の課題だ。
こうした理念や体制で「ふらっとコミュニティ」が行っている活動は、居場所の提供としてフリースペース「ひだまり」を週3回開設。利用者は作業所の行き帰りに寄ったり、愚痴をこぼしに来たり、休憩していったり、多い日には30名を数える。18年度で終了した健康福祉センターでのデイケアを受け継ぐ意味でのデイサービスが月に2回。デイサービスではコンピュータ関連会社の支援で提供されたパソコンを使ってのパソコン教室、スポーツ、調理、書道などを行う。ボランティアの指導による手芸教室も月に1回。材料費実費負担で、10時から16時のあいだ、自分の都合のよい時間に参加できる。週3回の相談支援もあり、内容によっては予約したうえで専門職が対応している。「ふらっとコミュニティ」独自の活動として、当事者同士でアイディアや意見を出し活動する「さんまの会」は月1回。これは「みんなでさんまを焼いて食べる会」が最初の活動で、会の名前となった。理事やボランティアもいっしょに夕食をとる「ナイトケア」は月に1度開催。300円程度の実費負担でおしゃべりをしながら楽しく食事をしている。(生活技能訓練)は、精神科病院の看護師の協力を得てこの春から月に2回行っている。たとえばどこかへ行くための切符を買うこと。同じ買うなら安く買うこと。それにはどうしたらいいのかといったことを当事者同士で考えて実践してみる、本人が持っている目標や課題を達成する、あるいは問題を解決するためのリハビリテーションである。なんとも多彩な活動ぶりだ。さらに、精神障がい者とその家族、支援する仲間、市民が情報を共有、つながることを目指しているA4版の冊子「メンタルヘルスうべ」の企画編集。理事たちが中心に作業し、年3回発行。1冊500円(当事者は200円)で販売したところ、600部作った創刊号は完売した。
勉強会も継続している。対人援助を仕事とする人たちが対人援助技術を高めるためのケアマネジメント研究会、専門家と家族が病気や治療などについての知識を共有し、意見を出し合うことで参加者同士が支え合い、気持ちが楽になれることを目的にした精神障がい者の家族勉強会はそれぞれ月1回、宇部市総合福祉会館を会場に開催している。20名程度を対象とした家族勉強会は宇部市障害福祉課、宇部市障害者ケア協議会精神障害者部会、宇部健康福祉センター、宇部地区精神保健家族会の後援を受けて、大学や病院、福祉関係の専門職による講義・質疑を60分、話し合いを30分という形で18年度は11回開いた。春からは宇部市の委託事業で日中一時支援を実施する。精神障がい者の居場所としての支援で、18年度末で11名の登録があった。
これらの活動を通じ、当事者自身から「自分たちにできることは?」という声があがり始めた。「新しいことに取り組むのは抵抗があるかなと思っていたら、自分からSSTを受けたいと言ってきました。さんまの会の活動もそうですが、私たちがこうだと思う援助ではなく当事者の声を聞きながらニーズにそった支援をしていくことが大切なんですね。エンパワメントにつながるのだと思います」。最近では当事者が「ふらっとコミュニティ」の賛助会員としてお金を出そうとするケースが出てきて、平成19年度からは利用したいという人には入会してもらうようにした。「ふらっとの運営も自分達のこととして考えてくれて、これまでの支援がおしつけじゃないんだなとうれしく思っています。彼らが持っている力を発揮してくれればいいと思っているのでありがたいですね」と山根さんは目を輝かせる。事務局長の福原さんも「当事者が仲間を連れてくることも多いです。スタッフのこともちゃんと観察していて、的確な指摘にびっくりすることもあるんですよ。ここに通ってくるうちに留守番もしていただけるようになったりね。役割意識が芽生えてきて、本人もうれしいんですよ」と目を細める。
また家族に対してもよいサポートとなっているようだ。精神障がい者は病院に20年、30年と長期に渡って入っている人が多い。「浦島太郎」状態である。昨今、病院は早く退院させようとしているが、家族に対しての病気の理解やケアの方法といった教育はなされておらず、長く社会から隔絶されてきた当事者と勉強不足の家族は地域社会に出て困惑してしまうのが現状。「ふらっとコミュニティ」の活動による病気やケアについての学習やネットワークづくりは非常にありがたいものといえる。
こうした理念や体制で「ふらっとコミュニティ」が行っている活動は、居場所の提供としてフリースペース「ひだまり」を週3回開設。利用者は作業所の行き帰りに寄ったり、愚痴をこぼしに来たり、休憩していったり、多い日には30名を数える。18年度で終了した健康福祉センターでのデイケアを受け継ぐ意味でのデイサービスが月に2回。デイサービスではコンピュータ関連会社の支援で提供されたパソコンを使ってのパソコン教室、スポーツ、調理、書道などを行う。ボランティアの指導による手芸教室も月に1回。材料費実費負担で、10時から16時のあいだ、自分の都合のよい時間に参加できる。週3回の相談支援もあり、内容によっては予約したうえで専門職が対応している。「ふらっとコミュニティ」独自の活動として、当事者同士でアイディアや意見を出し活動する「さんまの会」は月1回。これは「みんなでさんまを焼いて食べる会」が最初の活動で、会の名前となった。理事やボランティアもいっしょに夕食をとる「ナイトケア」は月に1度開催。300円程度の実費負担でおしゃべりをしながら楽しく食事をしている。(生活技能訓練)は、精神科病院の看護師の協力を得てこの春から月に2回行っている。たとえばどこかへ行くための切符を買うこと。同じ買うなら安く買うこと。それにはどうしたらいいのかといったことを当事者同士で考えて実践してみる、本人が持っている目標や課題を達成する、あるいは問題を解決するためのリハビリテーションである。なんとも多彩な活動ぶりだ。さらに、精神障がい者とその家族、支援する仲間、市民が情報を共有、つながることを目指しているA4版の冊子「メンタルヘルスうべ」の企画編集。理事たちが中心に作業し、年3回発行。1冊500円(当事者は200円)で販売したところ、600部作った創刊号は完売した。勉強会も継続している。対人援助を仕事とする人たちが対人援助技術を高めるためのケアマネジメント研究会、専門家と家族が病気や治療などについての知識を共有し、意見を出し合うことで参加者同士が支え合い、気持ちが楽になれることを目的にした精神障がい者の家族勉強会はそれぞれ月1回、宇部市総合福祉会館を会場に開催している。20名程度を対象とした家族勉強会は宇部市障害福祉課、宇部市障害者ケア協議会精神障害者部会、宇部健康福祉センター、宇部地区精神保健家族会の後援を受けて、大学や病院、福祉関係の専門職による講義・質疑を60分、話し合いを30分という形で18年度は11回開いた。春からは宇部市の委託事業で日中一時支援を実施する。精神障がい者の居場所としての支援で、18年度末で11名の登録があった。
これらの活動を通じ、当事者自身から「自分たちにできることは?」という声があがり始めた。「新しいことに取り組むのは抵抗があるかなと思っていたら、自分からSSTを受けたいと言ってきました。さんまの会の活動もそうですが、私たちがこうだと思う援助ではなく当事者の声を聞きながらニーズにそった支援をしていくことが大切なんですね。エンパワメントにつながるのだと思います」。最近では当事者が「ふらっとコミュニティ」の賛助会員としてお金を出そうとするケースが出てきて、平成19年度からは利用したいという人には入会してもらうようにした。「ふらっとの運営も自分達のこととして考えてくれて、これまでの支援がおしつけじゃないんだなとうれしく思っています。彼らが持っている力を発揮してくれればいいと思っているのでありがたいですね」と山根さんは目を輝かせる。事務局長の福原さんも「当事者が仲間を連れてくることも多いです。スタッフのこともちゃんと観察していて、的確な指摘にびっくりすることもあるんですよ。ここに通ってくるうちに留守番もしていただけるようになったりね。役割意識が芽生えてきて、本人もうれしいんですよ」と目を細める。
また家族に対してもよいサポートとなっているようだ。精神障がい者は病院に20年、30年と長期に渡って入っている人が多い。「浦島太郎」状態である。昨今、病院は早く退院させようとしているが、家族に対しての病気の理解やケアの方法といった教育はなされておらず、長く社会から隔絶されてきた当事者と勉強不足の家族は地域社会に出て困惑してしまうのが現状。「ふらっとコミュニティ」の活動による病気やケアについての学習やネットワークづくりは非常にありがたいものといえる。
続けていくために大事なこと
「要は人と人とのつながりですね」と山根さんは繰り返す。人の縁はいつどこでどう巡ってくるかわからない。だから大切にしなければいけない。今後の課題といえる資金や人材の確保にも、山根さんの軽快なフットワークと培ってきた人とのつながりがいかされるに違いない。定期的な資金確保のために宇部市の日中支援事業を受託したり、民間や行政の助成を受ける手続きをしたり、地元のボランティアグループへの協力要請、ボランティア養成講座を開設といった手も打っている。ボランティア養成講座については、講座を受けるが実践につながらないといったこれまでの実状を把握したうえで内容を検討する予定である。「こうした支援活動を続けていくには人とお金が必要です。続けていけるようできる限りのことはしていきたい。こころよく受け入れてくださった地域への還元も活動の中で行っていきたい」。山根さんの夢は広がる。「うつ病の人も増えていますから、うつ病の人への支援と合わせて、会社へのアドバイスや雇用促進といった支援も考えています。精神に障がいがあっても働けるんです。まじめに仕事に取り組んで、ほめられれば本人もまたやる気が出て続けられる。障がい者用の会社側のメリット、デメリット、病気に対する知識をわかってもらっていっしょに支援体制を作っていきたいです」。何ごとも楽しく取り組むことをモットーする山根さんのバイタリティーと、生活指導員の資格をいかしながら柔和な物腰できっちりと事務局を預かる福原さんの笑顔が、ふらっと立ち寄ってほっとできる「ひだまり」のあたたかさの源である。
DATA
| 事業所名 | ひだまり![]() |
|---|---|
| 市町名 | 宇部市 |
| 実施主体 | NPO法人ふらっとコミュニティ |
| サービスの開始日 | 平成18年9月1日 |
| 拠点の場所 | 宇部市寿町2丁目2-18 |
| 拠点の概要 | 空き店舗・空き家 |
| 連絡先(電話番号) | 0836-21-1552(FAX 兼用) URL:http://www.flatcommunity.com/ |
| 活動理念 | 精神障がい者が地域の中で安心して普通に暮らせるような地域社会作りを目指し、居場所の整備と活用、働ける場所の開拓、ネットワークの構築、情報の提供などの支援活動を行なうことによって、地域社会の保健・福祉に寄与することを目的としている。 |
| 活動内容・実施日時 | ●フリースペースひだまり:月・水・金 10時〜16時 ●さんまの会(当事者グループ活動):第1水曜 13時30分〜 16時 ●ナイトケア(夕食会):第1金曜 16時〜19時 ●手芸教室:第3水曜 10時〜16時 ●ケアマネジメント研究会:第2水曜 18時30分〜20時30分 ●相談支援:月・水・金 10時〜16時 ●精神障がい者の家族勉強会:第4土曜 13時30分〜15時 ●「メンタルヘルスうべ」企画編集 ●デイサービス:第2・4火曜 10時〜16時 ●SST(生活技能訓練):第1・3月曜 10時〜11時(4月より開始) ●日中一時支援事業:(4月〜宇部市より委託予定) ●パンを焼いて昼食をいっしょに(地域の方が主):10時〜 |
| 利用料 | ■手芸教室:材料費実費負担 ■ナイトケア(夕食会):食事代実費負担(300円程度) ■精神障がい者の家族勉強会:1回500円(資料代含む) ■ケアマネジメント研究会:1回500円(会員は無料) ■日中一時支援:4時間未満158円、4〜8時間316円(生保の方は無料) |
| 運営体制 | ●常勤:1名(賃金無) ●非常勤:2名(〃) ●ボランティア:5名 |
| 主な収入源 | 会費・寄付・利用料・民間助成 |
| 活動の流れ | [平成17年11月26日] NPO法人ふらっとコミュニティ設立 [平成18年1月] メンタルヘルスうべ 第1号 発刊 [平成18年5月] 精神障がい者家族勉強会開始 [平成18年6月] ケアマネジメント研究会開始 [平成18年9月] ひだまり開設 |
